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コンクール支援

戸塚亮一は、個人資産で毎年、日本音楽コンクール・全日本学生音楽コンクールに協賛しております。
また全日本学生音楽コンクールには佐々木成子賞・戸塚亮一賞を通じて若手演奏家の支援を行っています。

写真はイメージです

佐々木成子 略歴

佐々木成子(1919年5月27日 – 2017年5月15日)は、東京府(現東京都)出身の声楽家(メゾソプラノ)、歌手、オペラ歌手、音楽教育者であり、二期会の結成メンバーの一人です。本名は内田成。東京音楽学校(現東京藝術大学)を卒業後、ヘルマン・ヴーハープフェニッヒに師事しました。ウィーンへ音楽留学した日本人の草分けであり、戦後はマーラー交響曲第8番の日本初演でソロを務めるなど第一線で活躍。1970年以来、歌曲に重きを置き、ライナー・ホフマンと共演しドイツ歌曲や日本歌曲の名演を残し、日本でリート(歌曲)歌手としての地位を確立しました。武蔵野音楽大学や京都市立芸術大学で後進の指導にあたり、多くの門下生を育成。日本人初のオーストリア共和国芸術・科学名誉十字勲章を受章するなど文化交流にも尽力。没後、「佐々木成子賞」や奨学金が設立されました。

戸塚亮一 略歴

戸塚亮一氏は、1939年東京生まれ。1964年に慶応大学経済学部を卒業し、直ちにカワイに就職。1974年に初代ヨーロッパ駐在員としてドイツに赴任した。1980年にドイツで独立し、有限会社タイヨー・ムジークインスツルメンテ 創立。ドイツでは電子楽器の「テクニクス」、「ラムサ」、東洋ピアノ製造の「アポロ」などの総代理店を経営。1987年に、「ベヒシュタイン」、「ザウター」ピアノの日本総代理店を設立。後に、「プレイエル」チェンバロの総代理店ともなる。戸塚氏は、ヨーロッパの音楽文化に精通しており、安田女子大短期部(広島市)、産能大学(東京都)で、非常勤講師を務めた。また、独自のピアノ演奏法「トツカ・ピアノメソッド」を考案した。楽譜が読めなくてもすぐにピアノが弾けて楽しめる画期的なメソッドでその教材楽譜が「通販生活」で12,000部販売された。

㈱オフィス・トツカ代表取締役会長
(一社) ユーロピアノマネージメント代表理事

㈱ベヒシュタインジャパン創業者

若いあなたへ       佐々木成子

 長い間、若い学生たちや、まだ初々しい演奏家にレッスンをしてきて、一番悲しいのは、輝かしい将来のありそうな人が、壊れて、あるいは潰されていくのを見ることであった。自分のせいで、先生のせいで、あるいは周りのせいで、駄目になる理由は色々あるが、結果としては、声が出なくなり歌えなくなる。若くて身体や技術が未熟なうえに、経験も乏しいのに、とりかえしのつかないことになるのではないかと、遠目にはらはらしながら祈るように見ていることがある。頭の隅にでも、次のようなことをとどめておいてほしい。 

 もしも、あなたがまだ初心者であれば、まず間口を広くして、何にでも興味をもって勉強することだ。歌曲もオペラアリアも、あなたに無理のないものを慎重に選んで、言葉も何語でもやってみてほしい。イタリアオペラだけとか、ドイツ歌曲が専門とか決めるのは、だんだんと自然に気持ちが向いていく中で、対象を少しずつ絞っていけばよいのである。また、テクニックをしっかり身につけてほしい。二十代や三十代は、地道に勉強を重ねて、テクニックを充実させるべき時期である。そしてそのテクニックを使いつつ、歌っていけばよい。しっかりした基礎的なテクニックもなしに、有名な歌手の歌い方を真似たり、難曲や大曲に挑むのは、ばかげた危険なことである。小さな器にたくさんの水を入れるのと同じで、こぼれてしまって失敗する。テクニックを超える大曲ばかりを歌いつづけたために、声を使い果たした人を、私は何人も知っている。これではせっかくの才能も、花開く間もなく散ったようなものだ。この間違いを犯す人は相変わらず多いので、ぜひ気をつけてほしい。

テクニックを十分に体得した後なら、そのテクニックの範囲で歌うかぎりは、たとえ大曲に挑んでも壊れたりはしないはずである。あなたの身体や技術が、まだそこまで高まっていないのに、世界の第一線で活躍している人と同じ曲を、同じくらい大きな声で歌うなどという、危険なことはぜひ控えていただきたい。そして四十歳くらいになったら、そこで初めて声も使い、テクニックも使うというくらいにする。それまでの若い間は、声を節約して、大切にしてほしい。充分若いあなたは、今は少しぐらい無理をしても、すぐにまた回復して何のダメージも残さないかもしれないが、それも二度三度のことで、長く無理を続けると誰の助けを借りても、もう元にはもどれなくなることを、肝に銘じておいてほしい。

あなたが、もうすでに演奏活動を始めているくらいの年ならば、どうぞ焦らないで、と申し上げたい。コンクールで賞をとったり、オーディションで抜擢されたりしても、自分を過信せず、見失わないで歌っていってほしい。賞をとったから、何でも歌えると思い込んだり、逆に見立つためにはこの曲を歌うのがいいからと、声質に合わないものを歌って、目の前のキャリアを積むことだけに焦ってはいないだろうか。

あなたが、「この人はいい歌い手だ」と見込まれて、どんどんいろいろな仕事があるなら、なるべく断らないように心がけなければいけない。ということはつまり、断らなくてもいいように、練習やレッスンを十分受けてレパートリーを増やし、また健康に注意して、声やテクニックもよくコントロールしてほしいという意味である。しかし、その一方では、断る勇気もまたもっていてほしい。それは、自分に合わない曲や役柄を指定されたり、自分の能力を越えたものを要求されたときなどである。断る勇気は、若いときこそ大切なのである。

たくさんの演奏会に出て、華やかに歌っていた人でも、それが自分を育てる機会にならなければ、逆に自分をすり減らしてしまうことがある。自分一人でやってきて、先生のいない人にはよくあることである。やはり自分自身で自分をコントロールすることの難しさを認識して、誰か信用のおける人に聴いてもらって、方向を示してもらわなければ、道を踏み外すことが多い。一人でもできると、過信しないことである。

 たくさんの演奏会に出て、華やかに歌っていた人でも、それが自分を育てる機会にならなければ、逆に自分をすり減らしてしまうことがある。自分一人でやってきて、先生のいない人にはよくあることである。やはり自分自身で自分をコントロールすることの難しさを認識して、誰か信用のおける人に聴いてもらって、方向を示してもらわなければ、道を踏み外すことが多い。一人でもできると、過信しないことである。

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