独眼流亮孔明の独日おもしろ異文化論 第7回

ドイツの多くの自治体には、自分の庭に生えている木でも、勝手に切ってはいけないという条例があります。対象になるのは「地面から1メートルの高さで、幹の周りが80センチ以上ある木」。自分で苗木から育てた木であっても、その太さまで育てば、もう個人の判断だけでは切れません。
その根底には、「そこまで大きく育った木は、あなたの敷地にあっても、あなた個人だけのものではなく、みんなの財産だ」という考え方があります。マンションの敷地にある大木も、個人宅の庭木も、同じようにこの条例で守られています。
それでも増築などでどうしても切らざるを得ない場合は、厳しい条件がつきます。「地上1メートル・幹周り20センチの若木を、別の場所に3本植えること」が義務です。植えるスペースがなければ、3本分の苗木代と植樹費用を自治体に納め、自治体が代わりに別の場所へ植えます。
近隣住民の目も、なかなか厳しいものです。幹周り80センチほどの木になると、近所の人もその木の存在をよく把握していて、伐採の気配があると「あの木を切るんじゃないだろうな」と、すぐに声が上がります。だから大きな木を切るときは、事前に近隣全員に説明し、納得してもらってから作業に入るのが普通です。木一本のことで、ここまで手続きと合意形成が必要になる。多少面倒でも、こうして育った緑が簡単には失われない仕組みだと思うと、悪くないやり方だと感じます。
よろしければ、FacebookやLINEでこの記事をご紹介ください。
この記事はいかがでしたか?