独眼流亮孔明の独日おもしろ異文化論 第9回

ドイツの小学生に「将来なりたい職業」を聞くと、パイロットや医師、科学者に混じって「営林署の職員」が入ってきます。私がドイツにいたころは宇宙飛行士や科学者に次いで3〜5番目に入るほどでしたが、今でも6、7番目あたりには必ず顔を出します。日本ではあまり聞かない職業ですが、これは森と共に生きてきた歴史が、今も暮らしの感覚に残っているからのように思います。
営林署の仕事と切り離せないのが、野生動物の管理です。今のドイツに熊などの猛獣はいませんが、イノシシや鹿、ウサギは別で、「5〜10ヘクタールの森に、何頭までなら健全に暮らせるか」という数字がかなり細かく把握されています。増えすぎても減りすぎても森のバランスが崩れるため、狩猟免許を持つハンターが数を調整する役目を担っています。
ハンターは森の中に高さ5メートルほどの見張り台を組み、冬場は餌をまいて動物を集め、数を数えて報告します。増えすぎていれば、その分だけ狩猟の許可が出る仕組みです。
なぜここまで、森の番人が子供たちの憧れの職業になるのか。たどっていくと、「自分たちの暮らしは、この森に生かされている」という感覚に行き着くように思います。環境問題のニュースで真っ先に語られるのも森林破壊のことですし、クリーンな電力として風力発電への投資も早くから進んでいます。木にも動物にも大らかなのに、森を守ることだけは徹底している――そのちょっと不思議な一貫性の入り口が、子供たちの職業アンケートにも、しっかり表れているのだと思います。
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